ころもです。
環太平洋地域で大きめの地震が続いています。
「缶ビールを振って開栓すると泡が吹きこぼれますよね。それと同じで、マグマに含まれる水が揺さぶられて水蒸気になることで体積が増えて噴火する」
巨大地震と噴火が連動するメカニズムを、京都大学教授で『富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ』の著書、鎌田浩毅氏はそう例えます。
記録されている過去16回の富士山の噴火のうち、わかっているだけでも4回は巨大地震と連動して起こっているという事実も見過ごせません。
昨日のペルーM8地震、前日の千葉震度5弱と相次ぐ地震の情報がきれいに隠されてしまった大統領の来日。
しかし、
「南海トラフ巨大地震は、明日にでも起きる可能性は十分あります」
立命館大学歴史都市防災研究所の高橋学教授も証言するように、今日の熱中症に策を練りながら、同時に「すぐそこにある危機」として地震と連動する富士山噴火についても思いを巡らし、心構えをしておくことが我々には求められるのです。
富士山が山体崩壊すれば最大40万人が被災する!?
2004年に内閣府が想定した富士山噴火の場合、
・火山灰がどこまで飛び
・どれくらい降り積もるのか
のハザードマップによると、
---2cmの場合---
●飛行機、新幹線、船舶など、あらゆる交通機関はストップ
●電波をつなぐ基地局が灰におおわれて、スマホが使用不能、インターネットもつながらない。送電線が切れたら停電する
---10cmの場合---
●電気・水道・ガスなどのライフラインはすべて停止。
道路は灰で埋まり自動車も動かせない
●身体(目や喉)に異変が起きる
---30cmの場合---
●雨が降れば木造住宅が倒壊
---50cmの場合---
●ほとんどの木造住宅が全壊
東京より降灰量が多いと予想される横浜では更に厳しい現実が待ち構えているといわれています。
政府が算出した富士山大噴火がもたらす被害予測額は実に2兆5000億円というのだから、東京オリンピックにうつつを抜かしている場合じゃないと思うのはころもだけじゃないはず。
先述の鎌田浩毅氏も、
「火山学的に富士山は、時期は特定できないのですが100%噴火します。そして何より、南海トラフ大地震と『連動』して起こる恐れがある。歴史を振り返って見ると、江戸時代の宝永の大噴火(1707年)は、それに先立って南海トラフでM9クラスの巨大地震が発生してから、わずか49日後に起きています。やがて起こる南海トラフ大地震もこうした時間差で富士山と連動することが大きな懸念材料となっている。これにどう対処するかは、わが国にとって存亡をかけた喫緊の課題といっても過言ではありません
と警鐘を鳴らします。
大丈夫よ、
政府の発表では「今後30年以内に発生する確率が70〜80%」なんだから、まだまだ先よ、
そんなふうに思っている人はそろそろ皆無と思いたいところですが、これにしても今後30年以内ということは、1年後であるかもしれないし、今日の夕方かもしれないということですから認識が甘い人は改める必要があるでしょう。
まだまだ先どころか、脅かすわけではないですが、明日「行ってきます」と玄関を出た直後にドスンとやってくるかもしれない。
30年以内に地震が発生するといわれたら、30年後に向かって備えるなどという解釈ではなく、明日、いやいや今日にもやってくるかもしれないという覚悟でもって心構えや準備をすることが、真に生き延びるための正しい怯え方と思います。
さて、あなたはどうですか。
無駄に怯える必要はないですが、予測できないものならともかく、これだけ来る来るといわれている命を脅かすものに対して、まだまだできることがあるのじゃないでしょうか。
危険運転の犠牲になってしまった被害者の方々にしても、まさか今日、自分がそんなことに遭遇するとは夢にもおもわず家を出たことでしょう。
昨日、北海道のゴルフ場で熱中症により命をおとした36歳の男性にしても、このゴルフが人生最後のゴルフとなってしまうなどと一ミリだって思わなかったに違いありません。
最大の危機意識をもってふだんの日常を平気で生きる。
これはどんな時代にも大切な考えですが、ことに天災と人災が入り混じっておそってくる現代においては、さらに重要な危機意識のもち方、考え方と思います。
怯えてばかりいては、あるいは不安に思っているばかりでは日常を楽しめないという方も多いかもしれません。
実際気持ちのいいものではないですが、必ず起こるという危機に対して何の備えもせず、だましだまし日常をやり過ごしていることのほうがロシアンルーレットのようでよほど怖いです。
やるべきこと、なすべきこと、準備すべきものは準備した、人事は尽くしたのだからあとは天にまかせよう。
偉大なる日常を堪能するということは、そういうことだと思います。
話を戻しますが、
2012年の静岡県防災会議では、富士山が山体崩壊を起こすと最大40万人が被災するという試算が発表されているとのこと。
しかしこんな発表をされたところで我々に何ができるだろうか。
そこが一番知りたいところかもしれません。
本日発売『週刊現代』6/8号の記事によれば、
巨大地震が予測できなかったとしても、その後にくる噴火には備えることはできる、とあります。
かりに「40日後に、富士山は噴火します」と気象庁が発表したとき、この期間にどんな準備をすればよいのかについて、
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は、
「火山灰による影響は広範囲に及ぶので、特有の対策が必要です。目や口に灰が入らないようにするために、防じんマスクやゴーグルは用意しておきたい。ただし、コンタクトレンズはガラス質の灰が角膜を傷つける危険があるので外しましょう。
また、大規模停電に備えて懐中電灯や非常用充電池もあるといい。震災への備えにもなります。
ATMも停電で使えなくなりますから、カードやスマホ決済なんかは使えません。ある程度の現金は持っておくべきです。
とはいえ、1万円札を持っていても被災地では『おつりがない』ということもありえる。何万円と札束を持っているよりは、災害袋に1万円分の小銭を入れておくといいと思います」
とアドバイスします。
また言わずもがな、水と食料の備蓄も欠かせません。
・最低3日分、1人1日4リットルを家族の人数分といいますが、できれば1週間分の飲用水は確保しておきたいとのこと。これはもはや常識ですね。
しかしこれらよりずっと重要なことは、
噴火より先に避難しておくこと
だと和田氏は訴えます。
降灰により交通網が麻痺する前に西日本の安全地帯に移動しましょうと。
「山梨側から中央道に抜けるルートが使えますが、ちょうど噴火に巻き込まれる恐れもある。その場合は日本海側から迂回して西に向かうルートも考えられます」
とも。
ファイナンシャルプランナーの清水香氏は、火災保険だけでなく地震保険に入る必要性も説きます。火災保険とセットでこれは加入しなければいけないそうですが、地震被害だけではなく、火砕流や火山弾、火山灰で家が押しつぶされても保険金が支払われるのだそう。
なんでも、政府と損害保険会社が共同で運営しているため、保険会社が破綻するほどの大災害が起きたとしても、国が立て替えて支払ってくれるため安心だということです。
保険まではハードルが高くとも、今日これからでも準備できるものはありそうですね。必ずややってくるといわれている災害ぐらいはきちんと準備をして、偉大なる日常を堪能したいものです。
出来ることからコツコツ始めましょう。
では、また。
(出典・引用:『週刊現代』6月8日号より)
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