ころもです。
南海トラフ地震が近づいている。
そんな予感を強めている人が増えていることでしょう。
今朝、08:19に発生した紀伊水道を震源地とするM4.5の地震(震度3)、3日前の夕方にも同じく紀伊水道で震度4の地震が発生しています。
いつ発生してもおかしくないといわれている南海トラフ地震ではあっても、これまではまだ「のらりくらり」と我が事のように捉えられずにいた人々でさえ、さすがに日本最大級の断層、中央構造線上にある紀伊水道の連続地震にはゾッとしたはず。
しかし現実問題、仕事にも行かなくてはならず買い物に出かけることも避けられず、あれやこれやで「その日その時」自分がどこで地震に遭遇するかなどわかりようもなければ、選びようもないというのが泣き所。
ならば、状況別に危機をシミュレーションし、「そのときにとるべき」行動を事前にしっておこうじゃないかというのが今回の狙いです。
状況別、危機回避
本日発売の『週刊現代』から、生き延びるために必要な状況別の危機回避の方法をご紹介します。
🔳地下鉄や電車内で被災した場合🔳
まず危険なのは「圧死」。
「地震が起きた際、電車は緊急停車することが決められています。急ブレーキをかけられた電車が脱線したり衝突したりすれば、乗客は反動で電車の進行方向に投げ飛ばされてしまいます。その結果、大勢の人の下敷きになって死亡することもあるのです。社内の緊急放送を聞いたらすぐに手すりにつかまり、投げ出されないよう体を保持するようにしてください」
とは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏。
※ 手すりがなかった場合
→頭を抱えながらしゃがみ込むことで車両前方に投げ出されるリスクは軽減されるとのこと。
また、緊急停車後、自己判断だけで電車から降りてはダメ。線路脇に流れている高圧電流に接触して感電死してしまう危険性がある。
乗務員が「走行不可能と判断した場合のみ」線路上へ避難。
※ 電車が動かず、乗務員の誘導も期待できない状況の場合
→地下鉄トンネルの壁側には最寄り駅の方向と距離が表示されている。感電をさけるため線路中央をなるだけ歩き、最寄りのホームまで向かう。
※ ホームで被災した場合
→駅の緊急放送に耳を傾ける。外の状況を知るため。
🔳エレベーターで被災した場合🔳
「もっとも重要なのは、揺れを感じた瞬間に、すべての階のボタンを押すことです。災害時は安全のため、エレベーターは一度停まった後、時間をおいて人が入れないように扉が閉まることになっています。電気系統の故障で非常ボタンが昨日しなくなることもあるので、内部にとどまらず、速やかに脱出してください」
とは日本エレベーター協会の広報担当者。
※ 閉じ込められた場合 →無理に扉を開けたり、天井部から脱出してはダメ。
エレベーターの扉は頑丈で人力は開けられない。非常ボタンや携帯電話がつながるかを定期的に確認しつつ、体力を温存して救助を待つのが安全。
一度停止したエレベーターは外部から技術者の点検を受けない限り開かない。落ち着いて電気系統の復旧を待ち、非常ボタンを使用して外部と連絡を取るのが脱出のための安全な方法。
🔳新幹線で被災した場合🔳
意外にも、地震発生の際に新幹線は通常の電車よりも安全に停車することができる。
新幹線は初期微動を感知し2秒で減速を始めることができるため、大きな揺れが来る前に減速態勢に入るため脱線事故は起こりにくい。
「’06年8月に東京大停電が起きた際、ゆりかもめが停まりましたが、このときは冷房も聞かず、窓も開けることができなかったため、社内温度は40度を超えたそうです。普段からペットボトルや水筒を持っておくなど、事前の用意があるとよいでしょう」
とは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏。
むやみに線路に降りると危険。安易に線路に降りようとすると、地震で損傷した高架から落下してしまう。
「条件によっては、最徐行で最寄り駅まで車両を動かすことができる場合もあります。乗務員が指示するまでは、社内で動くことのないように」
※ 長時間の乗車の場合は最低限の飲食料を携帯しておくこと。
🔳東京スカイツリー・タワマンで被災した場合🔳
スカイツリーは、一般的な高層ビルよりも50%揺れを軽減することができる。
「スカイツリーの鉄骨は一般の鋼材よりも2倍近い強度があります。また、地上125mまでとそれ以上の部分では構造が異なっており、これらは異なる揺れ方をします。揺れが相殺しあうことで、揺れを軽減するのです」
とは、東武タワースカイツリーの担当者。
※ エレベーターが使用できなくなった場合→
復旧に時間がかかる場合、スタッフが地上までお客様を徒歩で誘導することになっている。
※ 地上への避難に時間を要する場合→
エレベーターが復旧するまで、展望台内のショップやレストラン、スタッフ用の備蓄品などをお客様に提供することも想定している。
〜タワマンでエレベーターが停まった場合〜
電気で組み上げる上下水道が1カ月以上使用できない可能性がある。
高齢者など体力に自信がないひとは自宅まで戻ろうとせず、付近の避難所を利用したほうがよい。備蓄の配給も受けられるうえに簡易トイレで排泄問題も解決可能。
🔳病院で被災した場合🔳
多くの病院には非常用電源があるが、一時的なものでしかない。
「当院では、1000人程度が2週間程度の期間とどまることを想定して、飲食料、非常用の敷布団、毛布を用意しています。ただ、緊急を要する患者様が多く運びこまれてくることも想定されるため、症状が重篤な順に対応をさせていただく形となることを想定しています」
とは、高知県にある病院の広報担当者。
「’16年の熊本地震の際は、治療が必要な患者を別の医療施設に移送することもできませんでした。場合によっては、看護師のいる福祉避難所に受け入れてもらえる場合もあります。その施設の受け入れ条件などを事前に確認しておくとよいでしょう」
とは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏。
※ 入院している場合 →
自治体に確認した上で、事前に近隣の「脱出先」を確保。
🔳映画館で被災した場合🔳
大地震が発生すると、即刻上映は中止され館内の照明は完全に落ちる。
第一にとるべき行動は、落ち着いて、頭を保護しながらその場にしゃがむこと。
揺れが続く暗闇の中ではこうするだけで危険性はぐっと下がる。
※ 古い施設にある映画館に居た場合→
脱出出来た後は、なるべくその建物から離れるべき。天井がいつ落下してくるかもわからないため。
火災や建物の部分的な倒壊など、二次災害に巻き込まれないように、公園などの開けた場所に逃げるのが正解。
🔳横浜ベイブリッジで被災した場合🔳
「震度6を超えると、道路の下から突き上げるような衝撃が生まれ、次にゆらゆらと波の上で揺れているような感覚に陥ります。ハンドルのコントロールは難しくなります。まずハザードランプを点灯し、ゆっくりと減速して停止させなければ、衝突事故などを起こす危険があります」
とは、前出の和田氏。
海沿いでは津波の危険性が!
南海トラフでは東京湾内でも4m以上の津波発生が想定されている。
「津波は建築物にぶつかると、そのまま壁沿いを伝って高く登っていきます。仮に1m程度の津波でも、ビルの4階、およそ10m程度まで上がります」
とは、高橋氏。
しかしレインボーブリッジを管轄する東京都港湾局の広報担当者は「車を停車させ、中で待機していてほしい」とのこと。
理由を、
「橋自体は津波の高さも考慮して設計されているため、橋上の道路まで浸水することはありません。ですが、橋の出入り口の部分が浸水している可能性があります。無理に脱出しようとして、車や徒歩のまま津波に流されてしまうより、車内で待機し、私どもの緊急放送で安全確認をしていただく方針です」
と述べている。
🔳東京ドームで被災した場合🔳
一つの出入り口に集まった数百人以上に押しつぶされ、骨折や内臓破裂などを起こす人が続出する。
東京ドームは耐震構造に優れており直接的な被害は少ないため、とにかくその場にとどまり、指示を待つことが最大の安全策。
エアドーム型の東京ドームは停電すると緩やかに天井がしぼんでいくが、観客席までは落下せずに一定の部分で停止するよう設計されているため慌てずその場で待機。
※ 吊り天井のホールの場合
「吊り天井は建物の耐震性とは関係なく、どんなに耐震に優れている建物でも落下してくる可能性があります。東日本大震災では、ミューザ川崎シンフォニーホールや茨城空港で天井の一部が落下しました。こういう建物内にいる際は、壁沿いに体をつけて避難するようにしたほうがいいでしょう」
とは、前出の和田氏。
以上となります。
その日、その時、どの場所にいるか自分で決められない以上、一つでも多くの場所、状況にふさわしい行動がとれるような知識を持っておきましょう。
南海トラフの確率は、今後30年以内に発生する確率が「70%程度」だったのが、「70〜80%」に引き上げられた事実を重く見たいと思います。
ではまた。
(出典・参考・引用元:『週刊現代』2018年11月17日号)
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