ころもです。
大阪の通勤時間を襲ったあの大地震の記憶も鮮明だというのに、昨夜の千葉の震度5弱。
観測史上最大の雨に未明の土砂災害、川の増水に氾濫に……
一難去ってまた一難、本当に生きにくい世の中です。
自分たちにできることはなにか。
海も危ない、山も危ない、川だって怖い…
一体どうすればいいのか。
そう叫びたくもなる。
でも諦めてはいられない。
できることはまだまだあります。
たった1人の知恵が多くの人々を救うこともある。
知識を身につけて知恵を味方につける。
間違った常識があるなら、それを見直すことだって命を守る大事な勇気。
知っている人にとっては再確認、知らなかった人にとっては「そうなのか」の気づきがあれば幸いです。
「常識は変わることもある」ことを知る
四六時中「今、地震が起きたらどうしよう」と考えることは、心がけていたくてもそうそうできるものじゃないし、生活が立ち行かなくなってしまう。
しかしそんな人間の都合などとは無関係に、時には前触れを出しながら、そして時には全く前触れもなくやってくるのが自然災害の恐ろしさです。
これまでの常識が未来永劫変わらぬ常識とは限らない。
常識とは「変わることもある」ということをわかったうえで、自己防衛していきましょう。
従来は…
調理中の火はすぐ消す
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新常識は…
火を消すより避難を優先
もちろんすぐに火を消せる状態であれば消すことが望ましいですが、と前置きしつつ東京ガス広報部の方はこうコメントしています。
「現在では当社のエリアのほぼ全家庭に、震度5程度以上の揺れを感知すると自動的にガスの供給をカットするマイコンメーターが設置されています。中略…危険を冒してまで無理に消しにいく必要はない」
危機管理アドバイザーの国崎信江氏も、
「地震発生時にあわてて火を消そうとすると、熱い油や汁物などで火傷する恐れがある。また、キッチンは刃物や食器など危険なものが落下してくる可能性が高いため、消化よりも避難を優先したほうがいい」
と解説しています。
従来は…
テーブルの下に逃げる
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新常識は…
テーブルごとつぶされるリスク
なんと防災先進国のアメリカでは、机の下に身を隠すことがリスクを高めるという考えが広がっているのだといいます。
「建物が倒壊した場合、テーブルでは荷重を支えられず潰れるため、下に隠れても圧死するリスクが高い」
と警鐘するのは、これまで875件もの救助活動を行った経験のある、震災の救命活動を行うボランティア団体「アメリカン・レスキュー・チーム・インターナショナル」の代表、ダグラス・コップ氏。
しかも固定されていないテーブルの場合、
ぶつかって怪我をする恐れもあると。
なので、
落下物が少ない廊下や玄関へ移動し、出口を確保するほうがいい、とは危機管理アドバイザーの国崎氏。
従来は…
トイレは潰れにくい
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新常識は…
閉じ込められ危険
4本の柱に囲まれた狭い空間だから強度も強そうで安心、そういわれてきたトイレ。
なのに、危機管理アドバイザーの国崎氏いわく、
「かつての建築法では確かにトイレの四方は柱で囲まれていたのですが、現在は『間仕切り工法』という石膏などでできたパネルで囲う建築法が主流になっているため、強度は他の部屋と同程度です。むしろ、出入り口が1つしかないトイレに逃げ込むと、揺れでドア枠が歪んでしまった際に閉じ込められるリスクがあります」
とのこと。
改める必要がありそうですね、トイレ神話。
従来は…
逃げやすい「1階」が安全
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新常識は…
木造なら「2階」のほうが安心
耐震性のある家なら1階、耐震性のない家なら2階にいるのが安心。
「木造建築の場合は寝室を2階にしたほうが安全だといわれています。2階建ての一軒家が倒壊する場合、1階がつぶれても、2階はそのまま維持されるケースが少なくない」
とは危機管理アドバイザー国崎氏。
昨今の水害の現状に照らし合わせてみても、1階は完全に水没しても2階があったがために命拾いした人が大勢いることがリアルタイムでわかる機会も増えました。
地震や災害のことを考えると、潰されたり水没してしまう1階よりは2階が安全というのが新常識となるのも体感としてよく理解できます。
従来は…
地下は安全
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新常識は…
ベイエリアでは要注意!
地下鉄のトンネルや車両には不燃材が使われているので火災が発生するリスクも極めて低い。
しかも、ガラス破片が降り注ぐような地上よりは頑丈だし、揺れも少ないから地下街や地下鉄駅へ逃げ込むほうがいいというのがこれまでの常識でした。
けれどもそれは、津波のリスクがない場所での話だといいます。
危機管理アドバイザー国崎氏いわく、
「地下街は津波で浸水する恐れがあるほど、壊れた水道管から水が噴き出すおそれもあります。海沿いの地域では、地震発生時に地下に逃げ込まないほうが良い。もし既に地下に居た場合には、慌てず地上に避難してください」
といいます。
ちなみに東京都港区の想定では、首都直下型地震が発生した場合、2.4メートルを超える津波が押し寄せるとされているそうです。
確かにそんなときに地下にいたらと思うとゾッとしますね。
ただ、すべてはケースバイケース。
臨機応変に対処することが求められるということも忘れてはならないでしょう。
自分の身は自分で守る。
最後にはそれが他人の命も大事にすることにつながると、さまざまなニュースを見ていてつくづく痛感します。
誰にでも当てはまる、どんな状況にも合致する「正解」はないかもしれない。けれども、今回の新常識を念頭におくことで助かる命もきっとある。
そして何より、最後まで「あきらめない」という気持ちが一番の防災力だと思っています。
ではまた。
(出典・参考・引用元:『週刊ポスト』2018年7月6日号)
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