ころもです。
アリーナ・ザギトワ選手がしばらく活動を休止することになったと各メディアが報じた今日。
実際はこれが「休止」という名の事実上の引退に繋がるのではないかと多くのファンが懸念していることと思います。
ザギトワ選手といえば「秋田犬」のマサルのことも同時に思い出すように、非常に日本と馴染みが深いというのか通じるものがあるなと勝手に親近感を感じていただけに残念でなりません。
先日イタリアはトリノで行われたグランプリファイナルでは、
トリプルアクセルを武器にするアリョーナ・コストルナヤ(16)が優勝、4回転を操るアンナ・シェルバコワ(15)と、アレクサンドラ・トルソワ(15)のコンビが2、3位となり、ロシアのシニア転向1年目の若手3人が表彰台を独占
したわけですが、これ、フィギュアスケートの大会でジャンプ大会じゃないですよね?
満月の光のなか凍った湖面を滑るような優雅なフィギュアスケートの姿を求める身としては、何とも味気なく子供じみた大会になってしまったものだというのが正直な感想です。
4回転を何回飛んだか、
着地がどうたったかなんて全く重要じゃない。
そんなピンポイントな競技なら、走り高跳びや棒高跳びで十分。
氷上を滑ることの美しさや優雅さ、そういったものにこそ感動したいのに、いつからか
「飛べー!」
と絶叫するナレーションが聞こえたかと思うと、
「はい、トリプルアクセル!」「はい、サルコー」
って、いちいちうるさいまでに講釈が入ってそこばかりに力を入れる解説になり、素直に競技を楽しめなくなったのも切ない。
なにせ、
いくら高く跳んでクルクル回っても、その前の動作が棒が滑るようにつまらないのですがどうなんですか?という視聴者の要望など全く耳に入らないのだから困ったもの。
みんなが最初のジャンプが大事だ、肝心だ、要だと煽りすぎて観る側のこちらまで緊張、音楽が始まって最初のジャンプまではご飯の箸も止まるような状態で息苦しいほどになる。
それって、優雅とは真逆の世界ですよね?
ジャンプだけが異様に重視されるあまり、当然ながら軽い子、未熟な子、若い子という流れになって子供大会のようになっているし、言い方は悪いですが真っ平らで棒のようなフォルムの子がクルクル回っているだけの競技に成り下がってしまっている。
そんなフィギュアが観たいわけじゃないのに、そういう演技をしないと生き残れない。
誰のためのスポーツ競技なのか、本当に今回のザギトワ選手の決断を聞いて改めて本末転倒な世界になってきたなと失望しかありません。
しかしながら、
今回ザギトワ選手が、
「競技外のアイスショー活動に集中し、また一度競技で競うモチベーションを見つける必要がある」
といって一石を投じた形になったのは非常に良かったなと、そう思いもします。
まだ17歳のザギトワ選手が体型は確かにピーク時より太ったり変化があったにせよ表現力などはどんどんよくなっているのに、それを評価できない世界で闘うことに果たして意味があるのかとも考えてしまうわけですが……
結果、
問題提起をした形にもなるわけですから非常に有意義なことでもある。
「私はどこにも行かないが、今後の国内選手権、欧州選手権、世界選手権には参加しない。自分を探し、新しいジャンプに挑戦する。それはとてもいいことだと思う」
そう語ったザギトワ選手。
競技用のためのフィギュアと、アイススケートショーなどで演じるフィギュアは明らかに違う。
わずか数人の判定をする人間たちによって点数をつけられ、点にはならずとも多くの人々を魅了する目に見えない空気感や世界観。
そういったものを楽しめるアイスショーの世界で人々と素晴らしい時間を共有するほうがよほど名誉なことであるし、人生の豊かさを味わえるのじゃないでしょうか。
新しいジャンプに挑戦する
何回転といわず、「新しいジャンプ」といったところに、ザギトワ選手の意地とプライドを見た気がします。
ネットも、
- 男子もそう。この前の羽生選手って4回転5本飛んでなかった?異常だよ、この現象は。
- ロシアの4回転トリオも今がピークで、北京オリンピックには今のジュニアの選手が台頭するのは確実。15歳を過ぎて体が大人の女性に成長した段階で終わり。狂ってるよ。
- 17歳の金メダリストが活動休止しなければならないスポーツって異常だと思いませんか?この流れは事故や事件が起きなければ誰にも止められないんでしょうかね。
と驚きを隠せない声が続出。
今後も応援したい数少ない選手。
フィギュアだけにとどまるには惜しいほどの容姿端麗。
ジャンプというわかりやすいものにしか高得点をつけられないようでは、フィギュアが泣きます。
4回転だけ立派で情緒も優雅さも世界観もないフィギュアを見せられるぐらいなら、2回転でもいいからとてつもなく優雅でたおやかでドラマティックな演技を観たい、そういうファンもいるのです。
ではまた。
(出典・引用元:THE PAGE 12/14(土) 14:00配信)