ころもです。
長寿社会ともなれば、人生設計も根こそぎ書き換える必要があるでしょう。
人生50年時代の生き方はもはや意味なし。
長生きするかもしれないことが「リスク」として捉えられる新たな時代に向け我々に出来ることは、古い常識を脱ぎ捨て、根拠ある最新の医療知識を各々が知り、活用していくこと以外ありません。
医療番組も乱立している昨今、健康意識も高まっている今だからこそ知っておきたい医療の現実。
今回は本日発売『女性セブン』2月21日号より、「世界基準でみた『ムダな医療』」について紹介していきたいと思います。
”チュージング・ワイズリー”って何!?
チュージング・ワイズリーという言葉をご存知でしょうか。
これは、
米国内科専門医認定機構財団(ABIM Foundation)が始めた、「現在医療の世界で行われている検査や治療が、過剰な検査・過剰な治療になっていないかきちんと検証していこう」というキャンペーン
のことです。
ただでさえ足が遠のき、気分ものらない検診や検査や手術。
必要不可欠なものであるならそれでも意を決し覚悟も決まりますが、そうでないなら「それなりの」対応をしていきたいと思うのは当然のこと。
ましてや受けることでリスクが発生するような医療なら「受けない選択」というものを積極的に採用していきたいと思うわけです。
言われるがまま、促されるがままの医療から、「本当にそれって必要なの?」という疑念を持ち、自らの身体がいたずらに危険にさらされないようにする努力は今後ますます重要になってくることと思います。
『女性セブン』2月21日号に掲載された、
世界基準でみた「ムダな医療」一覧 をご紹介します。
世界基準でみた「ムダな医療」一覧
【検診・検査】
〜CT〜
概要:レントゲンで人体を輪切りにした画像を撮影し、病気を発見する。
解説:被爆リスクと見落としの可能性がある。「とりあえずCT」は間違い。
〜大腸がん内視鏡〜
概要:カメラがついた管を肛門から挿入し、大腸をモニターで観察する。
解説:腫瘍は急に大きくなるわけではなく、見落としの可能性も少ないため10年に1回で充分。
〜卵巣がん〜
概要:膣内に器具を挿入し、超音波で子宮から卵巣を観察する。
解説:死亡率を下げる効果がないことが検証されているうえ、病気ではない女性を手術してしまうリスクもある。
〜骨粗しょう症〜
概要:骨に2種類のX線を当て、骨を通貨しなかったX線の量によって骨密度を測定する。
解説:骨粗しょう症は進行が遅いため、65歳以下は受ける必要がなく、受けるとしても10年に1回の頻度でよい。
〜認知症〜
概要:日付などに関する質問に答える「長谷川式」や血液採取によって判断する「MCIスクリーニング」など複数存在する。
解説:血液検査などでない限り、認知症かどうかは医師でも判断がつかないことがあるため、受ける前に熟考し、結果も鵜呑みにしすぎてはいけない。
【手術】
〜腰痛〜
概要:骨や靭帯、椎間板を削り、脊柱管を拡大して痛みを取るのが一般的な方法。
解説:海外でも手術を受ける患者はいるが、必ずしも痛みが取れるわけではない。
〜ひざ痛〜
概要:人口関節を入れる、半月板を削るなどの方法がある。
解説:人工関節を入れた患者とそうでない患者で、QOLに違いがないなど、必ずしも生活環境がよくなる保証がない。
〜胃ろう〜
概要:腹部を切開して胃の中に管を通し、食物や水分、医薬品を流し込んで投与する。
解説:延命効果がないとの研究結果が発表されている。さらに、認知症患者にとっては害にすらなる。
〜乳がんリンパ切除〜
概要:「センチネルリンパ節」や「ワキの舌の腋窩(えきか)リンパ節」を切除する。
解説:腫瘍でない部分は極力、除去しないほうがいいことが最新の知見で明らかになっている。
〜不整脈治療〜
概要:太ももからカテーテルを入れ、心臓の内部を温める。
解説:最新の米国の判断基準では、「薬で治療した方がいい」とされている。
(出典・参考元:『女性セブン』2019年2月21日号)
ちょい豆知識!
CT検査→ 1枚撮ると胸部X線の10〜100倍の放射線被曝があるので危険。お腹の中を診てもらうならエコー検査を推奨。
アメリカの平均入院数が5.5日なのに対し、日本は16.3日。背景にあるのは日本の病院の懐事情だといいます。
なぜなら、
「入院は家賃収入と一緒で病院にとって安定した収入源。長く入院してくれたら、その分儲かるのです」
とは、医療経済ジャーナリストの室井一辰氏。
医療とはいっても、そこは商売の側面もあることを忘れてはいけないですね。
必要なものは受け、不要なものは受けない。
当たり前といえば当たり前のことですが、その選別をするための基本的な知識すらないのでは話にならない。
一度きりの人生、ひとつしかない生命を守るのに学習しすぎるということはないと考えます。
ではまた。
(出典・参考元:『女性セブン』2019年2月21日号)