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それが知りたかった!医師が教える「正しい医者のかかり方」

 

 

 

ころもです。

 

自分、あるいは家族が病院に行かざるを得ない状況がいつなんどき発生するか誰にもわかりません。

 

今回は2019年最大の医療ベストセラーの著者(京都大学現役医師)が教える「正しい医者のかかり方」を『週刊ポスト』1号よりご紹介させて頂きます。

 

記事はQ&A形式になっていて項目は30。

ぼんやりとした知識しかなかったもの、今さら聞きにくいものなど「そうなんだ」と思える内容が沢山あります。

 

記事を文字起こしして引用させて頂きました。

誰に訊いていいのかわからないといったときの指針のひとつにはなるかもしれません。さっそくご紹介させて頂くことにします。

 

  

〜「病院にかかる前」の疑問 〜

 

【質問】病院にはどんな服装で行けばいいか

ー回答ー

厚着をするなとはいいません。ただ、診察の直前には上着を脱いでおいたり、腹巻きを取っておく、ネクタイなどをしている場合はそれも外しておくとスムーズに診察を受けられます。突然の診察でなければ、病院に行くときは患部を露出しやすいゆったりしたTシャツやトレーナーなどの服装が理想的です。

 

 

【質問】クリニックと総合病院、どっちに行くべきか

ー回答ー

初診時はクリニックに行くのがお勧めです。交通アクセスの便利なご近所のクリニックにかかりつけ医を持つといいでしょう。

クリニックの医師は地域の総合病院の特性もよく把握しています。かかりつけ医がいれば、なにか大きな病気にかかった場合でも気づいてもらいやすく、適切な総合病院を選んでくれ、紹介状も書いてくれます。これをもっていけば大病院でも数千円の追加料金を払うことなく受診できます。

 

 

 

【質問】何科に行けばいいかわからないときは?

ー回答ー

まずは近くのクリニックに行くこと。そうすれば適切な診療科を指示してくれます。総合病院では複数の科をハシゴさせられてしまうこともあります。また、整形外科と形成外科といった微妙な違いがある科もあるため、自己判断も危険。

ちなみに形成外科は主に「皮膚など体の表面を担当する」外科で、整形外科は「筋肉や骨を担当する」外科。

  

 

【質問】病院を選ぶとき、ネットの口コミはどの程度信用していいのか

ー回答ー

現状ではあまり信用しないほうがいいでしょう。医療についてのネット情報は、厚労省などの公的機関や大学病院のHPにあるものなどであれば信頼に値すると思います。基本的には「ググる前に病院へ」が正しい判断だと思います。

 

 

【質問】初診時は何を持っていけばいいか

ー回答ー

必携のものは保険証とお薬手帳です。これまで受けた検査結果を記した書類もあればなおいい。お薬手帳がなければ飲んでいる薬を全て持っていきましょう。これを見ればどういった治療を受けているのかがわかり、治療法を決めたり、どんな薬を処方するか決める手がかりになります。

 

 

【質問】最低いくら持っていく?

ー回答ー

医療機関によって違いますが、初診料の平均は2500〜3000円程度。初診で行われる検査は血液検査やレントゲンなど数百円から数千円程度のものです。MRIや内視鏡検査など1万円を超える精密検査は「後日予約を取って」行なう場合が多い。1万円持っていれば安心と言えます。

 

 

【質問】心付けは用意すべき?

ー回答ー

必要なし。心付けがあったからといって優先的に治療してもらえたり、治療の方法が変わるといったことはない。

 

 

【質問】休日診療の病院は信用できる?

ー回答ー

医療機関には「平日と休日」という概念はなく、各々の医療機関が「診療時間」と定めて病院を開けている時間以外はすべて「救急外来」扱いです。

休日でも病院が「診療時間」としている時間帯は、診察の質などは平日と変わりないと思っていいでしょう。

ただし救急外来になると変わってきます。多くは当番の医師が持ち回りで診察しているので専門外の医師に当たることもある。緊急性が高ければ、専門家の医師を呼び出して治療を依頼しますが、軽症の場合は応急処置を行ない、平日、専門医がいる外来を再度予約することになります。

 

 

 

【質問】救急車はどんなときに呼べばいい?

ー回答ー

そもそも、どのようなときに病院に行けばいいのかというと、これまで経験したことのない強さ、種類(ジンジン、ズキズキなど)、場所の痛みを感じたときです。

救急車を呼ぶのはどのようなときかといえば、一刻を争う病気で言えば血管系です。たとえば心筋梗塞はすごく重苦しく圧迫感のある痛みに襲われるといいます。大動脈解離などの場合は痛みが短時間で移動し広がることもある。クモ膜下出血などは頭をバットでなぐられたような激しい痛みです。そういう痛みがある場合は救急車を呼びましょう。ただ激しい痛みであっても、尿管結石などの場合は命に別状はありません。痛み止めを処方するだけ。

救急車を呼ぶかどうか迷ったときは「救急利用リーフレット(総務省消防庁)」を参考にしたり、市町村の救急相談窓口「♯7119」に電話して相談することをお勧めします。

  

 

【質問】救急車は手ぶらで乗っても大丈夫か

ー回答ー

救急車を呼ぶときは本人もご家族も気持ちが動転しており、履物やいつも使っている杖、上着などを持たずに乗り込んでしまうことがあります。

ただ、救急搬送された患者さんの殆どはその日のうちに帰宅するため、履物や杖がないと帰れない。また、治療費や帰りの交通費などにお金がかかるのでお財布も忘れずに持って行きましょう。

 

  

【質問】初診時は家族同伴のほうがいいか

ー回答ー

会話のキャッチボールができる患者さんであれば、初診時からご家族に同伴して頂く必要はありません。ガンや難病など、その後の治療方針を説明したい場合でも、「後日、ご家族と一緒に来てもらう」ことが多い。

 

 

 

 

〜「医者に診てもらうとき」の疑問 〜

 

【質問】待合室で確認すべきことは?

ー回答ー

初めて行く病院で「ここは良い病院かそうでないか」を患者さんが判断するのは難しいもの。ただ、待合室にいるときにわかるのは医師やスタッフ同士の会話です。看護師に命令口調で話しているなど、明らかに高圧的な言動の医師がいる医療機関は治療や診察を行なう際のチームワークが悪く、スムーズな診療につながらない可能性があります。

 

 

【質問】医師の肩書きはどう見ればいい?

ー回答ー

「◯◯専門医」「◯◯認定医」など、医師によっては多くの肩書きを持っている人もいます。それらを取得するには、多くの症例を経験し、講習を受けたり試験を受けることを求められるものもある。登録料や受験料もかかります。手間とお金がかかるのです。つまりその肩書きがあるということは、その分野について意欲的であるということ。また肩書を複数もっている医師は、広く浅く多くの資格を取っているということではありません。

各学会の専門医や認定医はピラミッド構造になっていて、たとえば外科の領域だと入り口に外科学会専門医があり、その上に消化器外科学会専門医など、外科の特定の分野に絞ったものがある。複数持っている人はそれだけ専門性の高い医師であると思っていい。もちろん肩書きを持っていなくても優秀な医師はたくさんいます。

 

  

【質問】医師の出身大学は気にするべき?

ー回答ー

気にすることはないと私は考えます。患者さんと上手にコミュニケーションを取る、病状を的確に判断する、チームで協力し合って治療をするなど、医師として大切な能力は大学進学時の学力とは別のものです。

 

 

【質問】診断書はどうやってもらうのか

ー回答ー

基本的には医師に直接頼むとその日の診察後にもらえます。

ただし、交通事故などの怪我で保険会社に提出が必要な定まった書式のものは病院の専門の窓口に申請する必要があり、事務処理を経て医師のもとに依頼が上がってくるので数日かかることもあります。また救急外来では診断書を発行できない病院もあることを覚えておきましょう。
料金は2000〜3000円程度です。

  

 

【質問】クレームは誰に言えばいいか

ー回答ー

看護師やスタッフを怒鳴りつける方が稀にいらっしゃいますが、効果的ではありません。内容が正論であれば前向きに受け入れるのですが、医療スタッフを萎縮させ、診察の質が低下するリスクがある。医療機関にはクレームを受け付ける窓口があるので、そこを利用するといいでしょう。

 

 

【質問】年下の医師にも敬語を使うべき?

ー回答ー

医師と患者さん双方が敬語を使うべきだと思います。医療は病気を治すための場であり、スタッフと患者さんは友達や家族ではありません。分かり合うことは大切ですが、ある程度ドライな関係のほうが診療がスムーズに進むと考えています。

 

 

 

〜「薬をもらうとき」の疑問 〜

 

【質問】先発薬とジェネリックはどう違う?

ー回答ー

ジェネリック医薬品とは、先発薬と同一の有効成分を同一量含み、同じ高価があると科学的に証明された薬です。最大のメリットはそれで値段が安いこと。

しかし注意が必要なのは、飲みやすさなどを配慮して錠剤を小さくしたりする工夫がされたジェネリックなどでは、先発薬には使われていない添加物が配合されていること。そうした成分にアレルギーのある患者さんもいらっしゃいます。

「オーソライズド・ジェネリック」という、添加物を含めて成分が先発薬とすべて同じというジェネリックを選べる場合もあります。

  

 

【質問】市販薬と処方薬の違いは?

ー回答ー

処方薬のほうが効くようなイメージがあるかもしれませんが、市販の薬も同じ名前であれば成分は同じものがほとんどです。たとえば市販薬の「ロキソニンS錠」と処方薬の「ロキソニン錠」は同じです。

ただし、同じ薬でも、成分量が違うというパターンがあります。風邪薬の市販薬「パイロンPL顆粒」と処方薬の「PL配合顆粒」は市販薬のほうが成分量が少なく設定されています。市販薬は医師の処方箋を必要としないので、より副作用の危険がないようにとの配慮です。

風邪などで症状が軽いのであれば市販薬で様子を見る。治らなかったり症状が重ければ医師に相談して症状に合わせたピンポイントの薬を処方してもらうというのが賢い方法でしょう。

 

 

 

【質問】処方薬が効かなかったら別の病院に行くべきか

ー回答ー

A病院で出された薬を服用していて効果がなかったので病院を変え、B病院で出された薬を服用したら症状が改善した。このような場合、A病院の医師に疑いを持つかもしれません。

もちろんA病院の医師の知識不足で不適切な処方をしてしまったというケースも考えられますが、多くはA病院で出された薬では効果が薄いという情報が手がかりとなってB病院の処方となっている。「後医は名医」と言われる所以です。

BでダメならC、Dと病院を変え続ける方がいらっしゃいますが、これではお金も労力も精神的な負担も大きく、患者さんの不利益は大きい。

医師と根本的に合わないと思うケースを除き、同じ医療機関に行くのが原則的には患者さんに有利になります。各々の患者さんの病状の変化を継続的に観察している医師のほうが最終的には正しい判断を下すことができるからです。

  

 

【質問】痛み止めは飲まないほうがいい?

ー回答ー

痛み止めを飲み続けると効き目に慣れてしまい、飲んでも痛みが取れなくなる、副作用が怖いなどの理由で痛みがあるのに服用を我慢する方がいらっしゃいます。とくに高齢男性に多い。

しかし、全身の関節や筋肉の痛みなど加齢が原因である痛みの場合、治療によって原因を取り除くことはできません。ここではいかに痛みとうまく付き合っていくかが大切で、我慢をすることで生活の質を下げてしまうことのほうが問題です。痛み止めには多くの種類、剤形のものがあるため制限量を守りながら自分に合うものを服用し、積極的に痛みを制御しましょう。

 

 

 

【質問】「食間」っていつ?

ー回答ー

「食前」「食後」「食間」の意味を曖昧にしか理解されていない方は多いです。食前とは胃の中に食べ物が入っていないとき。一般的には食事の20〜30分前です。

「食後」は胃の中に食べ物が入っている状態。食後20〜30分以内を指します。「食間」は一般的に食事の2時間後を目安とします。

  

 

【質問】「頓服薬」の意味は?

ー回答ー

「頓服薬」というと、痛み止めや熱冷ましのことだと誤解している人がいますが、「頓服」とは薬の種類ではなく、「症状が出たときだけ飲む薬」という意味です。便秘時だけ飲む下剤や、眠れないときだけ飲む睡眠薬なども「頓服」です。

 

 

【質問】点滴をしたほうが早く治る?

ー回答ー

「ひどい風邪を引いたけれど病院で点滴をしてもらったからすぐに治った」とおっしゃる方がいます。

これは何も風邪の特効薬ではなく、嘔吐や下痢で脱水状態になるのを防ぐための水分です。口から水分をとれる場合、点滴は必須ではありません。

 

 

 

 

〜「手術を受けるとき」の疑問 〜

 

【質問】病院は何を基準に選べばいい?

ー回答ー

かかりつけ医がいる人はそこで勧められた病院がベストですが、そうでない場合、自身の病状と照らして、著しく症例の少ない病院はやめたほうがいいと言えます。症例数については各病院のHPなどで確認できます。

また「手術をしてもらいたい医師がいる病院に行きたい」という患者さんもいらっしゃいます。

しかし医療は総力戦です。執刀を担当する医師以外に、麻酔医師も入れば看護師や臨床工学技士などの医療スタッフもいる。術後のリハビリや緩和ケア、退院後の地域医療との連携も重要な要素です。執刀医が良くてもそれ以外が整っていなければ意味がない。「がん診療連携拠点病院」に指定されている病院かどうかがひとつの指針になると言えるでしょう。

 

 

【質問】セカンドオピニオンと病院紹介は何が違う?

ー回答ー

かかりつけ医が別の医師を紹介して専門の治療を受けることと、「セカンドオピニオン」を混同されている方がいらっしゃいます。

セカンドオピニオンは治療中の病気に対して他の医師の意見を聞く仕組みです。決して別の病院の診察を受けることではありません。新たに検査を行なうことも治療を開始することもない。元の病院の医師が作った診療情報提供書を診てコメントするだけです。

保険診療ではないので1万〜4万円の費用もかかります。
別の医師の客観的な意見を参考にしながら元の医師と改めて治療について相談するというのがセカンドオピニオンの正しい理解です。

 

 

【質問】手術と抗がん剤、どちらを選べばいい?

ー回答ー

がんになったら手術、抗がん剤、放射線治療などさまざまな治療の選択肢がありますが、「このがんのこのステージ、この症状であればこの方法がもっとも予後がいい」というデータが揃っています。これに合わせて決定された治療方法を「標準治療」と呼びます。

これは「並の治療」という意味ではありません。現在検証し得る最上の科学的根拠に裏付けられ、標準化された治療という意味です。

科学的根拠とは、数百、数千といった大勢の同じ条件の患者を集め、厳密な規則にのっとって薬の効果が解析された臨床試験の結果です。もちろん薬の効果には個人差がありますが、より多くの人に効いた、つまり勝率の一番高いものが「標準治療」とされ、保険診療で受けられるようになっています。

保険の利かない高額の治療のなかには、標準治療のように臨床試験で効果が確認されていないものもあるので注意が必要でしょう。

医師が「標準治療です」と言って勧めてくれた方法が患者にとって「最も有効な治療」ということになるのです。これは「1000人のがん患者を診てきた専門医師」の個人的意見よりも信頼できます。

 

 

【質問】手術前は禁煙したほうがいい?

ー回答ー

治療方針の決定と同時に進めていただきたい準備の1つは「禁煙」。喫煙は術後肺炎などの呼吸器合併症や、心臓、血管など循環器系の合併症のリスクも高めます。

全身麻酔では呼吸も止まるため人工呼吸器のサポートが必要なのですが、術後は外して自分で呼吸しなければならない。このときに痰がたくさん出るのですが、喫煙者のほうが明らかにその量が多い。少なくとも術前1ヶ月は禁煙しましょう。

 

 

【質問】術前はダイエットするべき?

ー回答ー

太り過ぎは厳禁です。肥満患者さんは脂肪に病変が埋もれてしまい、目的の位置にたどり着くだけでも大変な場合もあります。

脂肪組織の中は血管が脆くなっており、出血しやすく止血にも時間がかかる。さらに肥満は動脈硬化のリスクから術後に心筋梗塞などの疾病を引き起こす危険性もある。

「手術後は食べられなくなるから栄養を蓄えておかなきゃ」と術前にどか食いをする患者さんもいますが、肥満の方は減量し、適正体重の方は維持しておくことが正しい手術の受け方です。

 

 

【質問】執刀医を希望することはできる?

ー回答ー

「執刀は絶対にこの先生にやってもらいたい」と、特定の医師を強く希望する方がいらっしゃいますが、それが叶うとは限りません。

さらに手術のスケジュールは過密です。患者さんの病状から病院側がベストなタイミングの日時を設定しても、希望した先生の都合が合わなければ延期となる。

その間、病状が進行し、どれだけ優秀な執刀医でもどうにもならなくなってしまうこともあり得ます。無理に執刀医を希望するのではなく、病院側に任せるのが患者さんにとっても有益だと言えるでしょう。

 

 以上です。 

(出典・引用元:「週刊ポスト」1号)

 

 なにかのときの指針として参考になればと情報をシェアするべく文字起こしをさせて頂きました。最終的な判断は自分ですが、初歩的な問いかけで今さら聞きにくいというものもあってなかなか勉強になりました。

 

ではまた。