ころもです。
2017年にガンで亡くなった人は約37万人。
死因トップである「ガン」。
「万が一」どころか「2人に1人」がガンになる時代に絶望的な気分になる人も少なくないでしょう。
けれど……
がんに罹ったとしても、そのガンをいともたやすく治せることができるのだとしたら?
そんな夢のような日が目前まできているとしたら?
今回は本日発売『週刊新潮』より、そんな待ち望んだ未来がそこまできているという記事をご紹介します。
一刻も早い承認が待たれていた「最新治療法」
光免疫療法のメカニズムは簡単に言うと、
がん細胞のひとつひとつにナノレベルのダイナマイトを仕掛け、近赤外線の光エネルギーで起爆させるイメージだといいます。
つまり、正常細胞を傷つけることなく、狙ったがん細胞だけを根こそぎ破壊するという、今までにない画期的な治療法です。
「正常細胞はいっさい傷つけず、がん細胞のみを叩くため、この治療による副作用も後遺症も理論的にはありません。治療費は未定ですが、近赤外線の照射装置はオーダーメードで作っても1台300万円程度ですから、比較的安く抑えられる見込みです」
患者にとってのメリットは、
治療のために入院する必要がないということ。
施術は、点滴を受け、翌日、ライトや光ファイバーで近赤外線を照射するだけ。
(※近赤外線も点滴する薬剤も人体には無害)
そんな治療が頭頚部がんだけじゃなく、肺がんや乳がん、大腸がんや膵臓がん、白血病に悪性リンパ腫など9割方のガン種へ対応可能になると期待されているのです。
ひと月後にはガンが消え、新しい粘膜が再生された!?
開発者である、米国立衛生研究所で主任研究員を努める小林久隆医師(57)は、
「これまでの治験では、再発したSTAGE4の頭頚部がんも寛解(CT検査などでもガンが確認されない状態)したと聞いています」
とコメントし、
「喉の奥にガンが広がっていた患者さんの場合は、処置をした翌日には腫瘍が融けるようにボロボロと剥がれはじめ、ひと月後にはガンは消えて新しい粘膜が再生された。局所の治療なので安全に行える治療であったと報告されています」
と。
小林医師が主任研究員を努める米国立衛生研究所は27もの独立した生物医学研究所からなる巨大組織であり、予算規模などなんと、宇宙開発を担うNASAの約2倍、日本円にして約4兆円の予算で運営されているというのだから次元が違います。
まさに夢のようなこの「光免疫療法」の治験が昨年の12月18日に最終段階に入り、早ければ来年中にも日米で承認され、実用化される可能性があるというのだから興奮がおさまりません。
治療が効いたことを意味する「奏効率」は93.3%!
開発者の小林医師は当初ガンのイメージング(可視化、画像化)の研究をしていたそうですが、あるとき、研究員の小川さんが、
「先生、なんかちょっと変なんです、ガン細胞が死んじゃうんです」
と肩を落とすので顕微鏡をのぞくと、がん細胞が次々と弾けていくという、これまで見たこともない現象が起こっていることに気づき、
「これ、治療に使えるやないか」
ということで、ガンの「イメージング」の研究から「治療」の方向へと研究領域が切り変わり、結果”ナノレベルのダイナマイト”発見に至ったというのです。
専門的な話は割愛しますが、とにかくそんな最新治療に使われるのが「点滴」と「小型の赤外線照射装置」のみというところが凄い。
しかも重粒子線治療の施設建設には150億円前後かかるといわれているのに、この照射装置は1台300万円程度なので、小さな病院でも負担にはさほどならないだろうということも大きいですね。
たしかに…
金額を無視した治療がいくら画期的であっても、少しも嬉しくない。使えてこそなんぼ。現実として支払い可能な金額にまでなってくれないと、最新治療といえども机上の空論で終わってしまう。
そういう意味で、小さな病院にも負担がかからず導入できる装置であれば庶民レベルでも利用することができる。これは大変画期的なことです。
さらに有難いのは、装置は安くても効果が絶大だということ。
治療が効いたことを意味する「奏効率」が93.3%だというのです。
オプジーボの肺がんへの奏効率が約20%だといえば、その凄さがより伝わるのではないでしょうか。
開発者の小林医師は、
「光免疫療法は、がん細胞を破壊しながら、同時に、良質な免疫細胞を増殖させる治療法です」
とコメント。
さらにオプジーボとの一番の違いは、「ガンを直接叩けること」だとも。
「光免疫療法は、ガン細胞を壊すことで、それまでガンによって働きを抑えられていた免疫細胞が活性化します。また活性化した良質な免疫細胞がどんどん量産されていくので、残存するガン細胞にも波状攻撃を加えられる。つまり、同じガン種の増殖を防ぐワクチネーション(ワクチン効果)も期待できるんです」
まさに夢の治療薬といったところ。
小林医師は、「近い将来、光免疫療法でほとんどのガンを治せるようにしたい」と述べています。
無駄遣いでとてもウェルカムな気分になれない東京五輪開催の年に、早ければ日米で承認、実用化される可能性があるという「光免疫療法」。
オリンピックにかける費用をこのような研究開発にもっとつぎ込めば、優秀な医師や研究者たちの流出も防げるだろうにと、そんな思いもよぎる記事でした。
なんにせよ、期待したいですね、その「光」に。
ではまた。
(出典・引用元:『週刊新潮』2019年1月17日号より)
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